【9月11日 AFP】ブラジルによる米戦闘機の調達をめぐる交渉が、ジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)ブラジル大統領の通信を米政府が傍受していた疑惑を受けて中断されていたと、ブラジル政府筋が10日、明らかにした。

 米戦闘機の調達交渉はすでに数年にわたっており、今年5月にはジョー・バイデン(Joe Biden)米副大統領がブラジルを訪れて交渉を進めていた。

 ブラジル政府筋によると交渉は最近まで順調に進んでいたが、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)がルセフ大統領のオンラインやその他の通信を傍受していたとの報道を受け、中断された。米政府側は10月に予定されているルセフ大統領の訪米を前に交渉をまとめようと熱心に働きかけていたという。

 交渉はブラジルが米戦闘機36機を50億ドル(約5000億円)で調達するというもの。候補には米ボーイング(Boeing)のF/A18スーパーホーネット(Super Hornet)、仏ダッソー(Dassault)のラファール(Rafale)、スウェーデン・サーブ(Saab)のグリペン(Gripen)NGが挙がっていた。

「米国はわれわれの信頼を取り戻さなければならない」と同政府筋は語った。

 ブラジルのテレビ局グロボ(TV Globo)のこの2週間の報道によると、NSAは、ルセフ大統領とその側近、ブラジル石油公社(ペトロブラス、Petrobras)に対するスパイ活動を行っていた疑惑がある。

 この疑惑は、米当局の監視プログラムを暴露し訴追されたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者の資料から出てきた。報道によればメキシコのエンリケ・ぺニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領もNSAの標的だったとされる。(c)AFP