【8月20日 AFP】米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者からの情報提供に基づき米当局の極秘情報収集プログラムを暴露する記事を執筆した英紙記者のパートナーが、英空港で対テロ法に基づき身柄を9時間近く拘束されたことについて、英当局は激しい非難にさらされている。一方の米政府は19日、身柄拘束は「米国の要請に基づいたものではない」として、この件への関与を否定した。

 英紙ガーディアン(Guardian)のコラムニスト、グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏のパートナー、デービッド・ミランダ(David Miranda)氏(28)は18日、独ベルリン(Berlin)からブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)に帰国するために経由した英ロンドン(London)のヒースロー空港(Heathrow Airport)で身柄を一時拘束された。

 この件に激怒したグリーンウォルド氏は、英当局はミランダ氏がテロに関与している「疑いをまったく持っていなかった」と主張し、何時間にも及んだ尋問の内容は、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)の大規模な情報収集プログラムを暴露したガーディアン紙の記事に関するものだったと指摘。「これは明らかにNSAや英国の政府通信本部(Government Communications HeadquartersGCHQ)について報じようとするジャーナリストへの脅しのメッセージだ」と、同紙が19日に掲載した記事の中で述べている。

 グリーンウォルド氏はまた「彼らはテロとまったく関係のない理由のために、完全に対テロ法を悪用した」と述べ、「彼らが絶対にやってはいけないことは、私たちを脅したりジャーナリストの仕事を妨げたりしようとすることだ」と、付け加えた。

 一方、米ホワイトハウス(White House)のジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)報道官は記者会見で、ミランダ氏拘束について「英政府から事前の通達があった」ことを認めつつ、「これはわれわれが要請したものではなく、英国の法執行当局が行ったものだ」として、関与を否定した。

 英当局によるミランダ氏の拘束については、マイクロブログのツイッター(Twitter)上でも批判的な投稿が相次いだ。英俳優のスティーブン・フライ(Stephen Fry)氏は、「何てこった、わたしたちの政府はいったい何を企んでいるんだ!」とツイートしている。(c)AFP