【7月17日 AFP】2週間前にムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領が軍により退陣に追い込まれたエジプトで16日、新閣僚が宣誓して35人の閣僚からなる暫定内閣が発足した。

 リベラル派のエコノミスト、ハゼム・ビブラウイ(Hazem al-Beblawi)氏が暫定首相を務める同内閣では、モルシ氏排除を指揮したアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah Said al-Sisi)軍最高評議会議長兼国防相が第1副首相兼国防相に任命された。

 モルシ前大統領の出身母体で強い影響力を持つムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)の報道官はAFPに対し、「われわれは(暫定内閣の)正統性も行政権も認めない」と述べた。同胞団と超保守のヌール党(Al-Nur、光の党)は、いずれも入閣要請を拒否。そのため同暫定内閣には、イスラム系の政党や組織に属している新閣僚は1人もいない。

 しかしカイロ大学(Cairo University)のハッサン・ナファア(Hassan Nafaa)教授(政治学)は、「暫定内閣は極めて包括的な内閣だ。全ての勢力を取り込むため、厳格なイスラム原理主義を掲げるサラフィスト(Salafist)を取り込む動きが出てくるだろう」と述べるなど、専門家の間ではイスラム主義者を暫定内閣に取り込む動きは継続するという見方がある。

 この就任宣誓式の前夜には、首都カイロ(Cairo)中心部と隣接するギザ(Giza)で大規模な衝突が発生し、医療関係の当局者は7人が死亡、261人が負傷したと発表した。また、デモに参加した数百人が逮捕された。(c)AFP/Simon MARTELLI, Tom Little