【6月26日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は25日、米政府当局による個人情報収集プログラムの存在を暴露して訴追された米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)について、モスクワ(Moscow)にある空港の乗り継ぎ区域にとどまっていることを明かすと同時に、米国が求めているスノーデン元職員の身柄引き渡しには応じない考えを示した。

 これは、同大統領が訪問中のフィンランドで開いた記者会見で発表したもので、世界の注目を集めているスノーデン元職員の行方に関連して同大統領が発言したのはこれが初めて。プーチン大統領は、ロシア当局はスノーデン元職員の入国を「全く予期していなかった」と述べ、元職員は「自由の身」だと表現した。

 元職員が23日に香港(Hong Kong)を出発し空路でモスクワのシェレメチェボ(Sheremetyevo)国際空港に到着したと伝えられると、米国はロシアに対し、あらゆる手段を講じて元職員を国外退去させるよう求めた。

 これに対しプーチン大統領は、外国人の身柄引き渡しについては、それに関してロシアと正式に条約を締結している国でなければ応じられないと主張。「ロシアは米国とはそのような取り決めを交わしていない」と同大統領は述べ、ロシアの対応を違法とする米国の主張については「無意味でばかげた話」と一蹴した。

 これを受けて、米国家安全保障会議(US National Security Council)のケイトリン・ヘイデン(Caitlin Hayden)報道官はAFPに対し、「確かに米国はロシアと身柄引き渡し条約を結んでいないが、ロシアがスノーデン氏を国外退去させなければならない明らかな法的根拠がある」と語った。

 シェレメチェボ国際空港のホームページには、乗り継ぎ規則として「ロシアの査証を所持しない外国人が空港内にとどまれるのは24時間まで」であり、必ず次の目的地への航空券を持っていなければならないと記載されている。しかしスノーデン元職員にもこの規定が適用されるかどうかついて、ロシア当局は今のところコメントしていない。(c)AFP/Dmitry ZAKS, Maria ANTONOVA