【6月20日 AFP】サッカー・コンフェデレーションズカップ(Confederations Cup)開催中のブラジルで公共交通機関の運賃値上げをきっかけに政府に対する抗議デモが激化している問題で、同国2大都市のサンパウロ(Sao Paulo)とリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の市当局は19日、値上げ撤回を発表した。

 値上げ反対デモは、コンフェデレーションズカップと来年開催予定のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開催費に巨額の税金が投入される一方、社会福祉事業がないがしろにされているとの不満の高まりを背景に、過去20年で最大規模の抗議デモに拡大。19日には北東部フォルタレーザ(Fortaleza)のコンフェデレーションズカップ試合会場周辺でデモ隊と警官隊が衝突した。

 サンパウロとリオで運賃値上げが撤回されたのは、デモ隊にとって大きな勝利だ。既にポルト・アレグレ(Porto Alegre)やレシフェ(Recife)など複数の都市でも値上げが撤回されている。

 サンパウロ州のジェラルド・アルキミン(Geraldo Alckmin)州知事によると、同州では電車・バスの運賃が24日から、現在の3.2レアル(約140円)から3レアル(約130円)に戻る。またリオでは、エドゥアルド・パエス(Eduardo Paes)市長によるとバス運賃が現在の2.95レアル(約130円)から2.75レアル(約120円)に戻るという。

 最低賃金が月額3万円未満のブラジルでは、公共交通機関の運賃値上げは多くの国民にとって大きな負担となる。ブラジル政府はコンフェデレーションズカップとW杯で好調なブラジル経済を世界にアピールし、国際社会での存在感を高めたい考えだが、若者層は経済成長の恩恵を感じておらず、デモ隊は政府が社会保険や教育に使うべき資金をスタジアム建設につぎ込んでいると非難している。(c)AFP/Christophe Simon