【5月11日 AFP】文民政権の任期満了によるパキスタン初の歴史的総選挙を翌日に控えた10日、同国各地で候補者などを狙った攻撃が相次ぎ、10人が死亡した。一方、同国のタリバン(Taliban)系イスラム武装勢力は、有権者に投票のボイコットを求める脅迫を強めている。

 投票は現地時間の11日午前8時(日本時間同日正午)に始まり、午後5時(同午後9時)に終わる。8600万人以上の有権者が、国会議員342人、そしてカイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)、パンジャブ(Punjab)、シンド(Sindh)、バルチスタン(Baluchistan)の4州の州議会議員を選出する。

 4月中旬以降、政治家と政党への攻撃で殺害された人はAFPの集計で127人に上り、パキスタン人権委員会(Human Rights Commission of PakistanHRCP)は、同国史上最も暴力に満ちた選挙だと指摘している。

 イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」のエフサヌッラー・エーサン(Ehsanullah Ehsan)報道官は、「現体制に対する反乱として、TTPは5月11日に複数の行動を計画しており、自分の命を守りたければ投票所から離れているよう人々に訴える」と述べた。

 カラチ(Karachi)では10日、シンド州議会選挙の立候補者1人が支持者2人とともに射殺された。

 バルチスタン州の州都クエッタ(Quetta)南方のマストゥング(Mastung)地区では、投票用紙を運んでいた武装護衛付の車列を武装集団が襲い、警備員2人が死亡した。

 北西部では、北ワジリスタン(North Waziristan)の主要都市にある複数の政党の事務所近くでオートバイ爆弾が爆発、4人が死亡、15人が負傷した。アフガニスタンとの国境沿いにある同地域は、タリバンと国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の関連武装集団の主要拠点となっている。

 スワビ(Swabi)北西部では非宗教政党「アワミ民族党(Awami National PartyANP)」の事務所近くで爆弾が爆発し、警察によると1人が死亡、3人が負傷した。

 10日に起きた一連の攻撃の犯行声明は出されていない。(c)AFP/Sajjad Tarakzai