【2月1日 AFP】米太平洋軍(US Pacific CommandUSPACOM)司令官のサミュエル・ロックリア(Samuel Locklear)海軍大将は1日、米国のアジア地域への戦略機軸の転換は、同地域への基地新設を意味するものではなく、従来の同盟関係を強化し近代化していくことだと述べた。

 米ハワイ(Hawaii)州にあるUSPACOM司令部から電話会見に応じたロックリア司令官は報道陣に対し、「米国は(アジア地域に)さらに基地を建設するつもりはない。われわれが同盟国との関係で望んでいるのは、引き続き緊密に連携していくことだ」と語った。また「(過去60年にわたって)この地域はいたって安定していた」と付け加えた。

 米政府は同盟国との軍事演習を増やし、長期戦略の一環として最新鋭の艦船や兵器、軍用機を徐々にアジア方面へ移動させている。米国のこうした動きの中、同地域ではいくつかの国が東シナ海や南シナ海での領有権問題を巡り中国と対立している。

 そうした中、ロックリア司令官は「アジア太平洋地域における戦力バランスを米国が『再調整』するのではとの憶測や疑念が著しいが、これだけは言わせてもらいたい。再調整とは協調と協力の戦略だ」と述べた。

 また今後はオーストラリアが「重要な柱となる」と述べると同時に、アジア太平洋地域をインド洋と切り離して考えることはできないとしながら、安全保障ネットワークを築く上でのインドの関与を歓迎した。

■尖閣問題にも言及

 さらに沖縄県・尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)の領有権をめぐり緊張が続く日中関係について質問された同司令官は「われわれが期待するのは、こうした対立が強制のない方法で解決することである。軍事介入なくして諸政府間で決定し、最終的に満足なものとなること」と述べ、最終的な帰属について判断を下す立場にはないとする米国の姿勢を改めて強調した。またさらに広範囲なアジア太平洋全体の海域で、中国を含めたすべての国に遵守義務を課す「行動規範」を策定することが重用だと述べた。(c)AFP/Kyoko Hasegawa