【1月5日 AFP】ベネズエラ政府は4日、再発したがんの治療のためキューバの首都ハバナ(Havana)で入院中のウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領(58)が、次の任期に向けた宣誓が行われる今月10日の大統領就任式に出席できない可能性を示唆した。

 チャベス大統領の容体については、先月行われた4回目の手術の後、「深刻な肺感染症」による「呼吸不全」に陥っていることが明らかになったことから、大統領職務を続行できるか否かに注目が集まっていた。ベネズエラの憲法では、大統領が就任前または就任後4年以内に死亡するか、職務遂行能力を恒久的に失った場合、30日以内に新たに選挙を実施することになっている。

 だがニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)副大統領は4日、大統領就任の宣誓の日程が先送りされることがあったとしても、その間の大統領の地位は剥奪されることはないと、野党側から出ている懸念を真っ向から否定。ベネズエラ憲法には、チャベス大統領の職務継続を保証する「高い柔軟性」があると述べた。

 今回の発表に先立ち、AFPとデジタル放送局ノティシアス24(Noticias24)のインタビューに応えたベネズエラの野党連合代表、ラモン・ギジェルモ・アベレド(Ramon Guillermo Aveledo)氏は、ベネズエラが今後の準備に役立てるために、政府は「真実」を認めて公表すべきだと主張。「大統領が不在だという事実を(政府は)認めたがらない」と批判している。大統領にがんが見つかったのは2011年6月だが、政府はこれまで、がんの具体的な種類を公表していない。

 キューバ入りしていたマドゥロ副大統領は3日に帰国した後、自身とベネズエラ国民議会のディオスダド・カベジョ(Diosdado Cabello)議長との間で権力争いが起きているとのメディア報道を否定。「嘘と操作で不確実性を生み出そうとしている」などと野党側勢力を糾弾した。一方、エルネスト・ビジェガス(Ernesto Villegas)通信情報相も、ベネズエラ国民に向けたテレビ放送で、「各国のメディアは、国家元首の容態をめぐる『神経戦』を仕掛けている。最終的な目的はベネズエラ・ボリバル共和国を不安定化することだ」と述べている。(c)AFP