【12月6日 AFP】米政府は5日、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に対し、中南米諸国が亡命を打診しているという未確認情報を得ていると発表した。

 米国務省のマーク・トナー(Mark Toner)副報道官は記者会見で、詳しい情報には触れなかったが、アサド大統領が中南米への亡命を検討しているとの噂があるとの記者からの質問に答える形で、「アサド氏と家族がシリアを出国するならば滞在先を提供すると、中南米やその他の地域の国が申し出ていることは承知している」と答え、「現時点では、アサド氏に正式な亡命の打診があったとの確実な情報は得ていない」と付け加えた。

 アサド大統領亡命の噂は、キューバの通信社プレンサ・ラティーナ(Prensa Latina)が、シリアのファイサル・メクダード(Fayssal Mekdad)外務副大臣がアサド大統領のメッセージを携えてキューバを訪問し、ラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長と会談したと報じたことをきっかけに持ち上がった。

 メクダード外務副大臣は、いずれも左派政権でキューバとの関係も近いベネズエラ、ニカラグア、エクアドルも訪れたという。

 さかのぼれば、今年3月にはチュニジアの大統領が、アサド大統領が亡命するならば受け入れると申し出たほか、今から1年前には米高官が議員らに対し、アラブ諸国から内密情報としてアサド大統領の退任を条件に亡命を受け入れる意向だと聞いたと明かしている。

 アサド大統領亡命の噂が広まる一方で、シリアでは首都ダマスカス(Damascus)近郊で戦闘が激化しており、米国はシリア政府に、化学兵器を自国民に対して使用しないよう求めている。(c)AFP