【11月4日 AFP】動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」への投稿はゼロ、写真共有サイト「フリッカー(Flickr)」に掲載されている写真もなく、ツイッターのフォロワーはわずか5000人足らず――2008年の大統領選で、共和党の候補者だったジョン・マケイン(John McCain)上院議員は当時、ソーシャル・メディア上での存在感がまったくないともいえる人だった。大統領選の当日でさえ、たった1回の書き込みもしなかった。

 一方、当時の民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)候補は、フリッカーもユーチューブも使いこなし、フェイスブック上の支持者は250万人。マケイン候補の約5倍を数えた。さらに、ツイッター(Twitter)では11万8000人のフォロワーを持ち、マケイン氏の4900人に大きく水をあけていた。

 しかし、それから4年、ネットの社会は大きく様変わりした。今でも、デジタルの世界では民主党が共和党の一歩先を行っているかもしれない。だが、もはや独壇場とはいえないようだ。共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney)候補はすべてのプラットフォームを活用し、数多くのフォロワーを抱えている。

 人物検索エンジンのピークユー(PeekYou)によれば、ツイッターのフォロワー数はオバマ大統領が2160万人であるのに対し、ロムニー候補のフォロワーは165万人にとどまるものの、米国在住者の割合は、オバマ大統領のフォロワーのうちわずか55%であるのに対し、ロムニー候補は89%に上っている。さらに、共和党の副大統領候補、ポール・ライアン(Paul Ryan)下院議員のツイートのフォロワーは、民主党のバイデン副大統領の2倍となっている。

 これに加えて、ロムニー候補のフォロワーの方が、より積極的にツイートをフォローしているとみられる。候補者を対象に、ツイッターの活用方法などについてコンサルティングを行う「140Elect」のザック・グリーン(Zach Green)社長によれば、ツイート1件に対するリツイート(再投稿)は、ロムニー氏の方が多い。例えば、10月最終週のロムニー氏のツイート1件に対するリツイートは平均1333回で、オバマ大統領の918回を上回っている。

 リツイートについて同氏は、「ツイートの影響の大きさを測る最善の方法のひとつだ。リツイートを数えることで、実際にツイートを読んでいるフォロワーや、メッセージを共有しているフォロワーがどれだけいるかが明確になる」と話す。

 こうした共和党のネット利用のあり方を変えた要因のひとつが、共和党の草の根保守派運動「ティーパーティー(Tea Party、茶会)」の活動だといわれている。

 2007年のフランスの大統領選に社会党から立候補したセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏のデジタル・ストラテジストで、オバマ大統領の2008年の選挙活動について調査を行い、結果をまとめたべノワ・ティウラン(Benoit Thieulin)氏は、2010年の中間選挙の時にはすでに、ティーパーティーのソーシャルメディアの利用が影響を及ぼしいていたと指摘している。(c)AFP/Stephane Jourdain