【10月17日 AFP】キューバ政府は16日、来年1月14日から、キューバ国民に対して出国時に取得を義務づけていた出国許可証を廃止すると発表した。また、キューバ国民の国外滞在可能期間は、これまでの11か月から24か月に延長される。

 キューバ政府は、医師や技師その他の熟練労働者が米国など、より高賃金を支払う国々へ「頭脳流出」することを防ぐために渡航制限が必要だと主張し、過去半世紀、国民の国外渡航に厳しい制限を課してきた。しかし違法に国外へ移住する市民は後を絶たず、ときには危険の伴うボートで海を越えようとする人びともいた。

 一方で米国政府は1966年以降、米国沿岸にたどり着いたキューバ国民に対しては自動的に永住権を与えてきた。

■出国に必要だった高額な手続き費用

 これまでは、キューバ国民が合法的に国外へ渡航するためには、招待状を提出して30日間の渡航許可証を取得する必要があった。この許可証は10回の延長が可能だが、延長可能期間が過ぎると渡航者はキューバに帰国しなければならず、帰国しなければキューバでの居住権を失うことになった。

 また、国外渡航に必要な査証や許可証を取得するための複雑で官僚的な手続きには、合計でおよそ500ドル(約4万円)ほどの費用がかかるため、平均所得が月20ドル(約1600円)未満のキューバでは、多くの国民にとって国外渡航はほぼ不可能だった。(c)AFP/Jean-Herve Deiller