【9月22日 AFP】パキスタンでは21日、反イスラム的な内容の米映画と仏週刊誌の風刺画掲載に対する抗議デモが各地に広がり、計17人が死亡、数百人が負傷した。

 イスラム教の礼拝日にあたる金曜日の21日、パキスタン政府はイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)をたたえる国民の祝日を宣言していたが、携帯電話網を数時間遮断するなど抗議行動の激化を抑えようとする思惑もみられた。

 ラジャ・ペルベズ・アシュラフ(Raja Pervez Ashraf)首相は「生命や財産を傷つけたり損なうことなく平和に抗議することが私たちに科せられた責任」と呼び掛けていた。しかし各地では怒りをあらわにした群集によるデモが拡大し、参加者は投石をしたり、建物に放火するなど暴徒化した。

 同国最大の都市カラチ(Karachi)では12人が死亡。北西部のペシャワール(Peshawar)でも5人が死亡した。またこの2都市と首都イスラマバード(Islamabad)での負傷者は計229人に上った。

 カラチの死者のうち1人は警察官で、米領事館近くでデモ隊に向けて催涙ガスを使用した際、何者かに銃撃された。

 隣国アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)が拠点とする部族地域の端に位置するペシャワールでは映画館2か所が襲撃され、放火された。またペシャワールの死者のうち1人はテレビ取材班の運転手だった。テレビ局によると、運転手は警官隊に殺害されたと主張している。

 パキスタンでは前週、一連の抗議行動で19人が死亡している。

 中東やアジア諸国のイスラム教徒は21日の金曜礼拝の後、反イスラム的な内容の米映画『イノセンス・オブ・ムスリム(Innocence of Muslims)』と仏紙「シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)」によるムハンマドの風刺画掲載に対して前週から続いている抗議行動に繰り出し、大規模なデモに膨れ上がった。イスラム教国では反発の激化をおそれた欧米の大使館・領事館などが建物を閉鎖した。(c)AFP/Damon Wake