【7月20日 AFP】エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領の政権で長年にわたり情報機関の責任者を務めたオマル・スレイマン(Omar Suleiman)前副大統領が19日、米国の病院で心臓発作のために死去した。77歳だった。エジプト半国営の中東通信(MENA)が報じた。

 同氏の側近フセイン・カマル(Hussein Kamal)氏はAFPに、スレイマン氏は米オハイオ(Ohio)州クリーブランド(Cleveland)の病院で検査を受けていたと述べた。エジプトで埋葬するため、遺体を運んでいる最中だという。

 中東通信はワシントンD.C.(Washington D.C.)駐在のエジプト外交官の話として、スレイマン氏は病院で検査を受けている最中に急に心臓発作を起こして亡くなったと報じた。

 スレイマン氏はムバラク前大統領を失脚に追い込んだ民衆蜂起の中、副大統領に指名された。スレイマン氏は4月、それまでの姿勢を翻してエジプト史上初の自由な大統領選挙となった5月の大統領選への立候補を表明したが、選挙管理委員会は15県で推薦を受けるという法定要件を満たしていないとして立候補を認めなかった。

 同氏の選挙陣営関係者の話を総合すると、健康状態が悪化していたスレイマン氏はその後、治療を受けるためドバイ(Dubai)、ドイツを経て家族とともに米国に入っていた。

 スレイマン氏は1935年7月2日、南部の町ケナ(Qena)の裕福な家庭に生まれた。1955年にカイロ(Cairo)の士官学校を卒業し、旧ソ連で軍事訓練を受けた。長年にわたり謎に包まれた人物として知られ、ムバラク政権の中枢にいるとみられてきた。(c)AFP