【6月25日 AFP】(一部更新)エジプトの選挙管理委員会は24日、6月16~17日に行われた大統領選決選投票で、ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)傘下の自由公正党(Freedom and Justice Party)から立候補したムハンマド・モルシ(Mohammed Mursi)氏(60)が当選したと発表した。

 アラブ世界最大の人口を誇るエジプトでイスラム勢力出身者が大統領に選ばれたのは初めて。

 モルシ氏の得票数は1323万131票で得票率は51.73%、敗れたアハメド・シャフィク(Ahmed Shafiq)氏の得票数は1234万7380票だった。有権者は5000万人以上で、投票率は51.8%だった。

 発表を受けてカイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)に集まっていたモルシ氏の支持者らは歓声を上げ、市内各地の道路ではドライバーがクラクションを鳴らし、モルシ氏の名を叫ぶのが聞こえた。一方、選挙運動スタッフと共に結果を聞こうとカイロ郊外に集まっていたシャフィク氏の支持者からは落胆の声が上がった。

 エジプトを暫定統治している軍最高評議会のムハンマド・フセイン・タンタウィ(Muhammad Hussein Tantawi)議長がモルシ氏に祝意を伝えたと国営テレビが報じたのに続き、敗れたシャフィク氏もモルシ氏に祝意を伝えたと半国営の中東通信(MENA)が伝えた。

 モルシ氏は当選の発表の数時間後「私は全エジプト人の大統領になる」と語り、ムスリム同胞団はモルシ氏が当選発表後にムスリム同胞団と自由公正党の役職を辞任したと発表した。また同氏は「われわれは全ての国際条約と憲章を順守する」と述べ、エジプトが1979年にアラブ国家として初めてイスラエルとの間で締結した平和条約の存続を示唆した。

 イスラム勢力の伸張を恐れるキリスト教の一派で、3月に教皇が死去しているコプト正教会の教皇職代行もモルシ氏に祝意を表した。(c)AFP/Samer al-Atrush and Jailan Zayan