【6月1日 AFP】ミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏は1日、タイの首都バンコク(Bangkok)で開かれた世界経済フォーラム東アジア会議(World Economic Forum on East Asia)に出席し、ミャンマーでの影響力を強める中国と米国に対し、ミャンマーを戦略上の「戦場」としないよう求めた。長年、自宅軟禁下に置かれていたスー・チー氏の海外訪問は24年ぶり。

 豊富な資源を有しながらも貧困国にどとまるミャンマーは、歴史的には中国との結びつきが強い。その一方で、(名目上は)民主政権へと移行し、軍政を終わらせた見返りとして制裁を緩和するなど、米国もミャンマー政府との接近を図っている。

 スー・チー氏は世界経済フォーラムの会場で、「多くの人たちが今話題にしているのは、現在のビルマ(ミャンマー)が米国との距離をより狭めつつあり、中国との関係がどうなっていくのかということだ」と語った。また「米中がビルマを戦場と見ていることについて、わたしは常に懸念している…ビルマは両大国にとって協調の場であるべき」と述べ、中国とは長年にわたって「良き隣人」の関係にあったことを強調した。

 米国は、4月に補欠選挙を実施したテイン・セイン(Thein Sein)大統領率いるミャンマーの現政権について、民主化を進めていると評価。投資に関する制裁を一部緩和し、また22年ぶりに駐ミャンマー大使を置くなどミャンマー政府との関係強化を図っている。

 民主化を確実なものとするべく早急な司法制度改革が必要であるとしたスーチー氏。公正な投資の呼び込みについては、投資家保護政策ではなく「法の支配」が必要であると述べた。

 ミャンマーは、中国とインドに挟まれた戦略上の鍵を握る場所に位置し、天然ガス、原油、水、木材、宝石といった資源が豊富で外国人投資家にとっては魅力的な投資先となっている。(c)AFP