【2月27日 AFP】反体制派への武力弾圧が続くシリアで26日、新憲法案の是非を問う国民投票が行われた。

 投票は全国1万3835か所の投票所で午前7時(日本時間26日午後2時)に始まった。投票が締め切られた午後7時(日本時間27日午前2時)に開票が始まったが、国営テレビによると一部の投票所では「有権者が途絶えなかったため」、投票時間が午後10時まで3時間延長された。

 バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が任命した29人からなる委員会が起草した新憲法案は、バース党(Baath Party)を「国家を指導する政党」と規定した現行憲法第8条を削除し、宗教政党の結成は禁じるものの、複数政党制に基づく政治制度を導入するなどとしている。

 しかし新憲法案で大統領は首相や閣僚の任命権や一部の法案に対する拒否権など、引き続き幅広い権力を持つとされている。新憲法案第88条では大統領の任期は7年間で2期までと定めているが、同第155条で、これらの条件は2014年に予定されている次の大統領選後に発効するとされているため、アサド大統領がさらに16年間権力の座にあることが可能な内容になっている。

■中露は支持、米国は酷評

 中国とロシアは新憲法やその後の議会選などのプロセスを支持しているが、米国のジェイ・カーニー(Jay Carney)大統領報道官は「実にお笑い草だ。形ばかりのシリア革命だ」と酷評した。  訪問先のモロッコの首都ラバト(Rabat)で記者会見したヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官はBBCに対し、シリアが内戦に突入する恐れがあるが、外国の介入はその動きを加速するだけだろうと述べて、シリアの政府軍兵士に体制からの離反を呼びかけた。

 一方、英国に本拠を置く人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、25日だけで民間人72人を含む98人が死亡したと発表した。赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)は22日の砲撃で死傷した欧米のジャーナリスト2人の救出と、死亡した2人の遺体の引き渡しについて交渉を続けているが、いずれもまだ実現していない。(c)AFP