【1月30日 AFP】ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんが29日、現政権の改革への真意を問う試金石とみられている連邦議会補欠選挙に向けて選挙運動を開始した。最初の遊説先となった南部ダウェ(Dawei)では、ノーベル平和賞受賞者でもあるスー・チーさんをひと目見ようと数万人規模の人々が集まった。4月1日の補選への出馬を表明して以降、スー・チーさんのヤンゴン(Yangon)外での遊説は初めて。

 民主化運動の象徴、スー・チーさんの登場に、ダウェ市内の路上は旗を振って歓声をあげたり喜びに踊る人々であふれた。補選で当選すればスー・チーさんは晴れてミャンマー議会の議員となる。

 大通りを埋め尽くした民衆らにスー・チーさんは、選挙運動の幕開けに「まさに相応しい場所を選ぶことができた」と語りかけた。また、演説で「今度の補選が自由で公正であるよう、みなで注視する必要がある。票買いや脅迫による投票があってはならない」と力説した。

■民政改革は本物か、NLDは全議席に候補擁立

 かつてビルマと呼ばれていたミャンマーでは、半世紀近くに及んだ軍事政権が2010年11月の総選挙によって名目上終わりを迎えて以来、劇的な変化が生じている。スー・チーさんの議会選出馬も、その変化を示す出来事の1つだ。
 
 総選挙は、不正工作疑惑やスー・チーさん率いる国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)のボイコットなどで正当性に疑問符がつくものとなったが、選挙結果をうけて昨年、軍事政権の元司令官らがポストを独占する新政権が発足した。

 以後、新政権はNLDの政党再登録を認め、少数民族の武装勢力と停戦で合意し、政治犯数百人を釈放するなど、相次いで改革策を打ち出し、観測筋を驚かせてきた。

 4月の補選で、NLDは対象となる48議席全てに候補者を擁立。スー・チーさんは、ヤンゴン近郊の選挙区から出馬する。(c)AFP/Hla Hla Htay