【12月31日 AFP】米政府は29日、サウジアラビアにF15SA戦闘機84機を含む294億ドル(約2兆2600億円)相当の武器を売却すると発表した。湾岸地域に「強いメッセージ」を送るものだとしている。

 イラン政府は自国の核開発計画について米国が新たな制裁を加えるなら、世界の石油タンカーの多くが通過するホルムズ海峡(Strait of Hormuz)を封鎖すると警告し、このところ米国とイランの緊張は高まっている。

 合意文書は24日、サウジアラビアの首都リヤド(Riyadh)で締結された。米政府によると、米ボーイング(Boeing)製のF15SA戦闘機84機のほか、旧型のF15戦闘機70機の近代化改修や弾薬・部品の売却、訓練、整備契約も盛り込まれているという。

 アンドリュー・シャピロ (Andrew Shapiro)米国務次官補は、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で記者団に対し、今回の売却は「この地域の国々に、米国がペルシャ湾を含む中東地域の安定に関与しているという強いメッセージを送るだろう」と語り、「サウジアラビアの、国外からの脅威に対する防御力を高めるものだ」と説明した。

■米経済にもプラス

 2010年10月にサウジアラビアへの600億ドル(約4兆6200億円)規模の武器売却の一部として明らかにされていた今回の武器売却は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が休暇を過ごすハワイ(Hawaii)で発表された。

 ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)米大統領副報道官はホノルル(Honolulu)で、依然として失業率が高い中、今回の武器売却は5万人以上の雇用を支え、米国経済にとって年間35億ドル(約2700億円)のプラスになると述べた。

 米国防筋によると、売却した武器などの引き渡しには15年から20年かかる見込みで、売却する航空機には攻撃ヘリコプター「ブラックホーク(Black Hawk)」や同「アパッチ(Apache)」も含まれているという。(c)AFP