【10月22日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は21日、イラクに残っている全ての駐留米軍を年内に撤退させると発表した。2003年から約9年間続いたイラクでの戦争が完全に終わることになる。

 イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相とのテレビ会談後に駐留米軍の完全撤退を発表したオバマ大統領は、イラクに最後まで残った米兵は胸を張って帰国するだろう、と述べた。米政府当局者によると、テレビ会談でマリキ首相はイラクで命を落とした米兵に心からの賛辞を贈ったという。

 複数の当局者によると米政府は、小規模の部隊を引き続きイラクに駐留させてイラク軍の訓練に当たらせ、隣国イランの影響力に対抗する意向だったが、米兵の訴追免除の問題でイラク政府と合意に達することができなかった。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領は2003年、イラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)大統領(当時)が大量破壊兵器計画を進めているとしてイラク侵攻を命じた。しかしフセイン政権崩壊後にイラクに大量破壊兵器はなかったことが分かったことから、米政界には深い亀裂が生じ、米国と同盟国との関係はぎくしゃくした。

 米軍は、外国からイラクに流入した国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の戦闘員で膨れ上がった武装勢力に悩まされた。先ごろ米中央情報局(CIA)長官に就任したデービッド・ペトレアス(David Petraeus)駐イラク米軍司令官(当時)が増派するようブッシュ大統領を説得した2007年になってようやく米軍の戦況は好転し始めた。

 開戦からの9年近くでイラクでは4400人を超える米軍人と大勢のイラク人が命を落とし、巨額の戦費が使われた。(c)AFP/Stephen Collinson