【10月6日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世が、南アフリカ政府から入国査証(ビザ)を発給されなかったため、予定していた同国訪問を取りやめたとされる件で、カレマ・モトランテ(Kgalema MOTLANTHE)南ア副大統領は5日、ダライ・ラマが訪問を中止しなければ政府はビザを発給する予定だったと発言した。

 同副大統領は南アフリカ紙The Starに対し、「ダライ・ラマは過去にわが国を訪問している。なぜ今回のビザ発給が問題になったのか全く理解できない」と語った。

 南アのデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)元大主教は、長年の友人で、共にノーベル平和賞受賞者であるダライ・ラマを自身の80歳の祝賀行事に招いたが、ダライ・ラマの訪問は取りやめとなった。ツツ元大主教は政府の対応について、アパルトヘイト政権よりも悪いと厳しく非難した。

 一方、南ア政府は、ビザ発給をめぐり中国からの圧力はなかったと主張。南ア外務省のクレイトン・モニエラ(Clayson Monyela)報道官は、ラジオ局702 Talk Radioに対し、「南アは主権国家だ。われわれは自国の考えに基づいて判断を下す」と述べ、「われわれは脅されていないし、圧力も受けていない。決断に際しては誰からの影響も受けない」と強調した。(c)AFP