【9月6日 AFP】リビアの新しい指導者たちが新しい国作りに取り組み、同国の最高指導者だったムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐派に残された拠点を潰しつつあるなか、新進の政治家たちは予定されている総選挙に期待を寄せている。

 首都トリポリ(Tripoli)の西、ザウィヤ(Zawiyah)の法律家アブドル・ダエム・ガラブリ(Abdel Dayem al-Gharabli)氏は、カフェでの仲間たちとの長い議論の末、「わたしたちの政党が組織されつつある」と語った。

National Democratic Encounter」という党名になる予定の政党は、広い支持基盤を持つ、法の支配を支持して政治的自由を尊重する党になるという。「だが、全リビア国民を1つに結ぶ、穏健なイスラム教に触発された政党にもなるだろう」と、ガラブリ氏は語った。

 一緒にいた高等裁判所判事のサデク・ザルク(Sadek Zarruk)氏は、「ムアマル・カダフィは彼の『人民の共和国』の中で革命評議会だけを認め、それ以外のあらゆる政治組織を禁止した。だからわれわれはゼロから始めることになる」と付け加えた。

■新政党の芽生え

 反カダフィ体制の民衆蜂起が発生した2月17日以降、いくつかの政治グループ結成が発表されている。7月にはアラブ首長国連邦(UAE)在住のリビア人らが、新リビア党(New Libya Party)を結成した。

 反体制運動のきっかけとなったリビア東部のベンガジ(Benghazi)では「2月17日の青年同盟(Alliance of the Youth of February 17)」が結成されたが、同グループが今後政党になる可能性もある。また国外に逃れたリビア救国国民戦線(NFSL)や、カダフィ体制下で数多くの地下活動を行っていたとされるムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)などもある。

 ガラブリ氏のグループに参加する医師のサデク・ツイル(Sadek Tuwir)氏は「リビアの『政治の砂漠地帯』に新党が咲き乱れるのを待っているところだが、リビアでの全国的な認知度獲得に最も近いのはムスリム同胞団だろう」と述べた。

 法律家のハッサン・ハウィサ(Hassan Hawissa)氏も同意し、「カダフィ体制下での弾圧にもかかわらず、同胞団は秘密活動を行う支持者のネットワークを維持し続けることができた」と述べた。

■新憲法制定、議会・大統領選へ

 国連(UN)事務総長特使のイアン・マーティン(Ian Martin)氏はトリポリで5日、リビアの新体制による総選挙の準備を国連は支援する準備があると語った。

 反体制運動を導いて暫定政府を組織した国民評議会は、リビアの「解放」を宣言してから8か月以内に制憲議会議員を選ぶ選挙を行い、新憲法は国民投票にかけ、制憲議会選から1年後に議会と大統領の選挙を行うというロードマップを発表した。民衆蜂起を支援した西側諸国は、人権を尊重する民主化されたリビアが誕生すると確信していると述べる。

 リビアには、東部のキレナイカ(Cyrenaica)地方、西部のトリポリタニア(Tripolitania)地方、南部のフェザーン(Fezzan)地方と3つの地域があり、多くの部族が暮らしている。専門家たちはリビアが民主主義の国になるにあたって、これらの点は問題にならないとみている。

 フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)のオリビエ・プリエ(Olivier Pliez)氏は「複雑な状況下では、東部対西部や部族対国家などと単純化する傾向があるが、それはリビアとリビア国民に対する侮辱だ」と語った。(c)AFP/Mohamed Hasni