【8月2日 AFP】イスラム諸国の大半が1日、断食月「ラマダン(Ramadan)」に入った。期間中、敬虔なイスラム教徒は夜明けから日没までの間、飲食や性交を控えなければならない。

 世界10億人以上のイスラム教徒が迎えた今年のラマダンは、中東地域の騒乱とも重なった。チュニジアとエジプトで、民主化を求める大規模な蜂起が強権体制を崩壊に導いた事例はアラブ諸国を揺るがしており、各国政府はラマダンを機にしたさらなる情勢の緊迫化に目を光らせている。

 政府軍による反体制派への武力弾圧がまもなく5か月目に突入するシリアでは、反体制運動の原動力となってきたフェイスブック(Facebook)上のグループ「シリア革命2011(Syrian Revolution 2011)」が弾圧への報復として、夜の礼拝「タラウィーフ」後に反体制デモを行うことを呼び掛けている。同グループはフェイスブックに「当局はラマダンとタラウィーフを恐れている」と書き込んでいる。

 リビアでは最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の政府軍と反体制派の戦闘が続いているが、反体制派はAFPの取材に対し「(ラマダン中は)トリポリ(Tripoli)への進撃を中止する」と回答した。

 エジプトでは、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領を政権から引きずりおろした民主化要求デモの舞台となった首都カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)に泊まり込んでいるデモ隊が、ラマダンのために座り込みを中断した。

 だが、2月から首都サヌア(Sanaa)の広場を占拠し、アリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)大統領の退陣を要求しているイエメンの反体制派は、AFPの取材に「ラマダン中も居座りを続ける」と答えた。(c)AFP