【7月8日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(The Washington Post)は6日、北朝鮮が1990年代、核技術供与の見返りとしてパキスタン軍幹部2人に300万ドル(約2億4000万円)以上の賄賂を渡していたと報じた。

 パキスタンの「核開発の父」アブドル・カディル・カーン(Abdul Qadeer Khan)博士が、北朝鮮の高官から受け取ったという極秘文書のコピーを英国の元ジャーナリストに託したことから明らかになった。

 文書には1998年7月15日の日付けと「極秘」の印、そして当時の全秉浩(チョン・ビョンホ、Jon Byong Ho)党中央委員会書記の署名が入っており、「(パキスタン軍幹部1人に)300万ドルを支払った」、「(2人目には)50万ドルと宝石を贈った」との文言が。そして、「パキスタンにミサイルの部品を送るわれわれ(北朝鮮)の飛行機が到着したら、核兵器関連の文書や部品などを積めるよう手助けしてほしい」と求めている。

 同紙によると、西側諸国の情報機関はこの文書が本物であると確信しているというが、パキスタン政府は文書は偽造されたものであると主張しているという。

 カーン博士は、2004年に国営テレビで「核技術を北朝鮮、イラン、リビアに供与した」と証言したことがきっかけで、自宅軟禁下に置かれた。その後発言を撤回し、09年には軟禁を解かれたものの、パキスタン政府との不仲状態は続いている。

 ただし、パキスタンが北朝鮮に核技術を提供したからこそ、北朝鮮が既存のプルトニウム兵器開発計画に加えてウラン濃縮計画に着手できているのだと広く信じられている。(c)AFP