【6月21日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は20日、国民に向けた演説で、憲法改正を視野に入れた国民対話を呼び掛けた。また、反体制派の主な要求である、約50年間続いてきた与党バース・アラブ社会党(Baath)の事実上の1党支配を終わらせる可能性についても言及した。

 大統領は、3月中旬に反政府デモが始まって以来3回目となる演説で、シリアがターニングポイントを迎えたことを自ら認め、こうした改革が「国民の利益を最優先したもの」だと強調した。

 大統領は、国を揺るがすここ3か月の騒乱で殺害された「殉教者」たちの遺族に哀悼の意を表した上で、「破壊工作と混沌の中では改革は行わない」とも言明。これを受け、米政府はシリアに「言葉ではなく行動を」と呼び掛けた。

 一方、目撃者によると、この演説後、首都ダマスカス(Damascus)近郊や北部のアレッポ(Aleppo)、中部のホムス(Homs)、ハマ(Hama)などで反政府デモが行われたという。

 ロンドンに本部を置く人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、デモは「破壊工作者」「過激派」などと大統領に名指しされたことに抗議するために行われたもので、アレッポでデモ参加者60人が逮捕されたとの情報も入ってきているという。(c)AFP

【関連記事】シリア独裁政権に崩壊はあるか、専門家分析