【5月2日 AFP】北朝鮮当局は、国外からの情報を遮断する一環として、中国から密輸されている携帯電話の没収に乗り出した。

 韓国に拠点を置く脱北者の組織「NK知識人連帯(North Korea Intellectuals Solidarity)」によると、ロシアや中国と国境を接する北朝鮮の咸鏡北道(North Hamkyong-do)会寧(Hoeryong)市と両江道(Yanggang-do)恵山(Hyesan)市の情報として、応じなければ罰則を科すとして、警察が住民に携帯電話を自主的に提出するよう呼び掛けている。

 警察は「資本主義思想を広め、社会主義を侵食する者を罰するため」、携帯電話の使用を探知する特殊な装置を導入したと言っているという。 
 
 北朝鮮は国外の情報へのアクセスを厳格に制限しており、ラジオやテレビも国営しか視聴できない。しかし、中国の携帯電話の電波を拾える国境近くの住民の多くは密輸した電話を使って、中国や韓国へ脱出した親族や友人と話していることが知られている。

 現在、当局が発信源を追跡するには5分程度かかる。利用者たちはこの5分以内に通話時間を抑えている。

 韓国当局や観測筋によると、中東諸国で相次いでいる民衆蜂起に関する報道が広まるのを押さえつけるために、北朝鮮政府は最近、国外からの情報流入の統制を強化している。

 北朝鮮には、エジプトの通信大手オラスコム・テレコム(Orascom Telecom)との合弁事業による認可された携帯電話サービスもある。しかし、サービス自体が限られいる上、監視が厳しく、国外と電話をやりとりするのは難しいという。(c)AFP