【2月21日 AFP】リビアの反政府デモが内戦に発展する恐れもでてきたなか、欧州各国はリビアに在住する自国民の安全確保に向けた対応を迫られつつある。

 21日、前日からブリュッセル(Brussels)で開かれていたEU外相会合の会場に現れたスペインのトリニダド・ヒメネス(Trinidad Jimenez)外相は「非常に懸念している」と述べ、リビア、特に北東部のベンガジ(Benghazi)からEU市民が避難する場合に備えて調整中であることを明らかにした。

 一方で、リビア情勢や同国の最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐に対する姿勢には温度差がある。

 北アフリカから欧州への不法移民の玄関になっているイタリアのフランコ・フラティニ(Franco Frattini)外相は「欧州との境界にイスラム教のアラブ首長国」が誕生する「深刻な懸念」があるとの見解を示し、北アフリカのアラブ諸国の経済が崩壊すればEU全体がその代償を払うことになるだろうと述べた。

 しかし、チェコのカレル・シュバルツェンベルグ(Karel Schwarzenberg)外相は、「カダフィ体制が崩壊すれば世界にいっそうの混乱が起きる。われわれが関与しても状況が複雑になるだけだ」と述べ、欧州はリビアの反体制運動への「過度な関与」を避けるべきだとの考えを示した。

 イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相も19日、近しい友人であるカダフィ大佐の「邪魔をする」つもりはないと話している。

 イスラム過激派への防波堤として独裁者を支援してきたと批判されているEUでは今、中東・北アフリカ地域の民主化や人権状況の改善、政府のより良い統治につながる経済支援のあり方について議論が行われている。(c)AFP