【7月5日 AFP】韓国紙・中央日報(JoongAng Ilbo)は5日、北朝鮮から海上ルートを使って韓国へ亡命する脱北者数が最近増加しており、韓国当局では北朝鮮の工作員が紛れ込んでいる可能性があるとして警戒を強めていると報じた。

 同紙が韓国政府筋の話として報じたところによると、3月26日の韓国哨戒艦「天安(Cheonan)」の沈没で南北間の緊張が高まって以降、海上経由の脱北が5件あった。直近の事例では前月26日、日本海上で小型船に乗った北朝鮮人2人が韓国海軍に保護されているが、消息筋によると2人は「軍から逃げることが目的」だと話し、関係政府機関で事情を聴かれているという。

 同紙によるとこの消息筋は、海上経由の脱北が増加している理由について、主要な脱北ルートである中朝国境の警備を中国当局が強化したためとの見方を示す一方、天安事件以後の韓国軍による海上警備態勢をチェックするため北朝鮮から送り込まれた工作員の可能性もあると指摘した。

 聯合(Yonhap)ニュースは、天安事件以降、小型船で韓国に脱出してきた北朝鮮人は7人に上ると報じている。

 韓国の裁判所は前週、脱北した黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ、Hwang Jang-Yop)元北朝鮮労働党書記の暗殺任務を帯び、脱北者を装って東南アジア経由で韓国に入国した北朝鮮工作員2人に対し、懲役10年の判決を下している。(c)AFP