【5月4日 AFP】米ニューヨーク(New York)の国連(UN)本部で開かれている核拡散防止条約(Non-Proliferation TreatyNPT)の再検討会議で3日、イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が演説で激しく米国を非難し、数か国の代表団が退席する事態となった。

 3週間の日程の検討会議の初日に演説台に立ったアフマディネジャド大統領は、「核兵器の所有は、気分が悪くなるほど恥ずべき行為。核兵器を行使するとの脅しは、それ以上の恥さらしだ」と熱弁をふるった。さらに、「米国は核兵器使用では飽き足らず、核兵器で攻撃すると他の国々を脅し続けている。イランも含めてだ」と米国を批判。米国に加えイスラエルと、国名は明らかにしなかったがある欧州の国も核兵器を使用すると脅していると示唆したため、米国、英国、フランス、および核兵器を持たない数か国の代表団がアフマディネジャド氏の演説中に退席した。

 これに対し、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は、アフマディネジャド大統領の非難を、「言い掛かりにすぎない」と一蹴。核兵器による脅威の軽減と核物質の削減は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の外交政策の最重要政策だと強調した。

 NPT再検討会議には約150か国が参加しているが、核保有国と非核保有国の間の溝は深く、最終文書を採択できない事態も予想される。

 一方、米国防総省は3日、米国が保有する核弾頭の総数は2009年9月30日現在で5113発だったと発表した。これまで秘密だった保有核弾頭数を公表することで、核軍縮と核軍備の透明性確保に向けた米国の姿勢が真剣なものであることを示す狙いがあるとみられる。

 最近の米政府は、オバマ大統領が09年4月にチェコのプラハ(Prague)で行った演説で示した世界の核廃絶という目標に向けた各種の施策を打ち出している。(c)AFP/Michael Adler