【2月11日 AFP】イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は11日、イスラム革命記念日の演説の中で、予告していた濃縮度20%のウランの初製造を完了したと発表した。

 1979年のイスラム革命から31周年を迎え、同大統領は首都テヘラン(Tehran)のアザディ(自由)広場(Azadi Square)で数万人を前に行った演説で、3.5%の低濃縮ウランの1日の生産量をまもなく3倍に増やす方針を示したほか、「イランには80%までの高濃縮を行う能力はあるが、実行はしない」と述べ、自国のウラン濃縮能力を誇示した。

 濃縮度20%のウランの製造が完了し、科学者たちの手に引き渡されたとの報告を発表した大統領はさらに、「(世界の大国たちは)なぜ20%の濃縮をそんなに大事として取り上げるのか。ナタンツ(Natanz、の核施設)は現在、20%どころか80%をも超える濃縮が可能だ。単にわれわれはそれを必要としないから、実行しないまでだ」と語った。

 過去3回のイランに対する国連制裁にもかかわらず、ウラン濃縮を続けているナタンツには、数十キロの低濃縮ウランを製造する能力があるとも、アフマディネジャド大統領は述べた。

 濃縮度20%のウラン製造をイランが開始すれば、核兵器製造に必要な濃縮度93%のウランも技術的には同様に製造できるため、それに歯止めを掛ける手立てはないと専門家らは懸念している。(c)AFP