【1月24日 AFP】イスラエルで、首相夫人が元家政婦から虐待を受けたとして訴えられている問題が、この疑惑を大々的に取り上げている同国のメディアとベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相との間の「場外乱闘」にまで発展している。

 ネタニヤフ首相とシモン・ペレス(Shimon Peres)同国大統領は、この問題が世論によって裁かれてはならないとして、メディアに報道を避けるよう厳しく要求していた。

 しかし、新聞各紙などは22日も紙面を大幅に割いてこの問題を報じ、公共ラジオは同日、「サラ・ネタニヤフ(Sara Netanyahu)夫人の家政婦に注目が集まった1週間が終わった」と述べ、「それとハイチにも注目が集まった」とその場で気づいたかのように付け加えた。

■「シンデレラの継母」のようないびりと訴え

 首相夫人の家政婦だったリリアン・ペレツ(Lillian Peretz)さん(44)は2004年から09年まで、首相夫妻が週末を過ごす地中海沿岸のカエサレア(Caesarea)の別荘で働いていた。訴状によると、ペレツさんは「まるでシンデレラのような」苦痛を与えられたという。

 ペレツさんは、「精神的・肉体的に崩壊するまで、(首相夫人が)不可能な量の仕事を押し付け、脅し、怒鳴りつけ、女性的な侮辱を加えた」と主張し、夫人を「シンデレラの継母」になぞらえた。ペレツさんは、毎日複数回シャワーを浴び服を着替えることを強要されたほか、夫人が「美しく聡明」であると褒めなければならず、賃金は最低賃金以下で社会保障費も支払ってもらえなかったという。

 訴えに対し、首相夫妻は声明で、「首相夫人へのねつ造や中傷であふれかえったもの」として、疑惑を全面的に否定した。

■サラ首相夫人の家政婦虐待疑惑は以前も

 元スチュワーデスで現在は精神分析医のサラ夫人が、メディアからの好ましくない注目を集めることはこれが初めてではない。

 1996年、ネタニヤフ首相の第1次内閣時にも、Nannygate(ナニーゲート)疑惑と呼ばれる騒動に巻き込まれている。この際にも、家政婦の若い女性が、スープを焦がした際にサラ夫人に怒鳴り付けられ、さらには路上に放り出されたことさえあると主張していた。(c)AFP/Patrick Moser