【10月23日 AFP】英BBCの視聴者参加型の人気政治討論番組「クエスチョンタイム(Question Time)」に22日、移民排斥を唱える極右政党、英国民党(British National PartyBNP)のニック・グリフィン(Nick Griffin)党首(50)が出演し、ロンドン(London)のBBC本社前などに殺到した抗議のデモ隊と警官隊が衝突して負傷者が出る騒ぎとなった。

■BBC前で500人以上が抗議

 BNPは「移民受け入れ中止と英国人の優先」を掲げ、最近は訴訟沙汰を経てやや方針を変えつつあるものの、「党員を白人種に限定する」など入党規定があることで知られる。

 BNPの同番組への出演は初。今年6月の欧州連合(EU)議会選挙でグリフィン党首ら2人が当選を果たし、得票率6.2%(約94万4000票)を得たことから、BBCは「公平であるのが放送局の義務」だとして、グリフィン党首を番組に招待。激しい議論を招いた。

 収録当日、スタジオがあるロンドン西部の「テレビジョンセンター(Television Centre)」前には、約500人が集まり抗議。BBC本社前では発煙筒がたかれ、敷地内に突入した30人ほどが警官隊と衝突して6人が逮捕され、警官3人が負傷した。

■「英国はキリスト教国であるべき」

 この日のパネラーとしてはジャック・ストロー(Jack Straw)司法相ら与野党の政治からが複数出演していたが、議論はBNPの政策に集中。グリフィン党首には、スタジオの番組参加視聴者から敵意に満ちた質問が次々と浴びせられ、パネラーらも、同氏のこれまでの発言を取り上げて議論を挑んだ。

 番組でグリフィン党首は、「わたしはナチス(Nazi)ではない。ホロコースト(Holocaust)を否定する確信もない」と主張。むしろ、BNPが「あからさまに反ユダヤ主義の人種差別団体」になるのを押しとどめたことで、英国内のネオナチからは敵視されていると述べた。

 一方で、「わが国は基本的に英国的なキリスト教国でなければならない」とも述べた。

 また、出演後に国内通信社プレス・アソシエーション(Press Association)に対し、番組について「激論試合のようなもので、普通の意見でさえ二極化してしまう」と語った。

 グリフィン党首の出演をめぐるニュースは、英メディアを席巻。23日の新聞のほとんどは、一面に出演したグリフィン党首の写真を掲載した。

 出演についてゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は先に、「彼らがどういう人物なのかを知る良い機会になる」と話している。(c)AFP/Robin Millard