【10月20日 AFP】イランとフランス、ロシア、米国は19日、オーストリア・ウィーン(Vienna)の国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)本部で、イランが製造した低濃縮ウランをロシアとフランスで再濃縮する計画について協議を行った。IAEAのモハメド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)事務局長は、「協議は非常に建設的だった。技術的な問題のほとんどが協議できた」と語ったが、具体的な進展については発表されていない。協議は20日も継続される見通し。

 イランは、国連安全保障理事会(UN Security Council)の3度にわたる制裁を無視して、ナタンツ(Natanz)の核施設に1500キロの低濃縮ウランを保有している。しかし、医療用アイソトープの製造を行うためのテヘラン(Tehran)の研究用原子炉を稼働させるためにはより高濃縮のウランが必要としている。

 欧米諸国は、イランが核兵器開発に着手したと見ているが、イラン側はこれを否定。だが、IAEAは、核開発計画が平和利用目的のものかどうかの調査において、イラン側が協力姿勢を見せていないとして批判している。

 今回の協議に出席したイランのアリ・アスガル・ソルタニエ(Ali Asghar Soltanieh)IAEA担当大使は、「(エルバラダイ)事務局長の言ったことを支持する」とだけ述べ、詳細については明らかにしなかった。

 協議に先立ち、イラン政府は、協議が不調に終わった場合はウラン濃縮を加速させると明言している。イラン原子力庁(Iran Atomic Energy Organisation)の報道官は、国営イラン通信(IRNA)に対し、イランは最大5%の水準までウラン濃縮を続けるとの意向を示している。その上で、「交渉が期待した結果をもたらさなければ、イランは20%の水準まで濃縮を行う。イランはこの権利を放棄するつもりはない」と語っている。(c)AFP/Simon Morgan