【6月7日 AFP】投票を12日に控えたイラン大統領選に立候補している穏健派の有力候補ミルホセイン・ムサビ(Mir Hossein Mousavi)元首相の妻、ザフラー・ラフナヴァルド(Zahra Rahnavard)アルザフラー大学(Al-Zahra University)元学長(64)が、テレビ討論におけるマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領の発言に対し、訴える構えもあると7日、明らかにした。

アフマディネジャド大統領は3日に行われたムサビ氏との1対1のテレビ討論で、ムサビ氏の妻であるラフナヴァルドさんの教育レベルに疑問を投げかけた。ラフナヴァルドさんはイランでも屈指の学者で、女子大学であるアルザフラー大学の学長を2006年まで10年間務めていたが、強硬派のアフマディネジャド大統領の就任と入れ替わりで同大を退任した。

 ラフナヴァルドさんは、大統領が24時間以内に「嘘を広めた」ことを謝罪しない限り、大統領を訴えると報道陣に語った。学長は「イラン国家に謝るべきだ。そして、わたしと夫にもプライバシーの侵害を謝罪すべきだ」と怒りをあらわにした。また、アフマディネジャド大統領は「ライバル候補を排除」したがっており、討論での発言はイラン女性は高等教育を受けるべきではないという大統領の考えが表れていると非難している。

 討論の際、アフマディネジャド大統領は、ラフナヴァルドさんが「大学の試験に出席せずに博士号をとった」と述べた。ラフナヴァルドさんは政治学博士で、彫刻家としても著名。週末に行われる大統領選に向けて、イラン政治の型破り的に、夫ムサビ氏と並んで選挙運動を進めている。

 大統領選でムサビ首相が勝利した場合、イランには数十年ぶりに「ファースト・レディ」が誕生すると観測筋は注目している。(c)AFP/Farhad Pouladi