【4月21日 AFP】イタリア北部チソンディバルマリーノ(Cison di Valmarino)で3日間の日程で開かれていた主要8か国(G8)農相会合は20日、投機目的による農産物取引を監視し、食料安全保障体制を強化していくことなどを盛り込んだ共同宣言を採択し、閉幕した。

 共同宣言では、食糧不足に向けた備蓄体制が有効であるか、また価格の不安定性を制限する手段となるかについて、関係国際機関が検討することが求められている。

 会合終了後の記者会見で、国連食糧農業機関(United Nations Food and Agriculture OrganisationFAO)のジャック・ディウフ(Jacques Diouf)事務局長は、共同宣言について「重要な第一歩」と評し、7月にイタリア南部サルデーニャ(Sardinia)島で開かれる主要8か国首脳会合をにらみ、「(食糧問題の)構造的な問題を取り除き、具体的な解決につなげたい」と語った。

 昨今の経済低迷により、穀物価格の高騰は一段落したが、これは一時的な傾向にすぎないとの意見で、農相会合は一致した。また、非政府組織(NGO)団体などは、前年6月にローマ(Rome)で開かれた国連(UN)の「食糧サミット」で拠出の決まった総額220億ドル(約2兆1600億円)の食糧支援は、まだわずかしか実行されていないと訴えている。

 英国の国際NGOオックスファム(Oxfam)も、国連が目指す飢餓撲滅目標の達成からは程遠いとして、即時に農相会合の共同宣言を糾弾する声明を発表した。

 農相会合を終えて、米国のトム・ビルサック(Tom Vilsack)農務長官は、「食糧安全保障の問題は、道徳的な責任にとどまらない。世界経済や国際社会の安定にも影響を及ぼす、われわれ自身の責任問題なのだ」と語った。

 農相会合にはG8農相に加え、アルゼンチン、オーストラリア、エジプト、アフリカ連合(African UnionAU)、FAO、世界銀行(World Bank)からも代表が参加した。(c)AFP/Mathieu Gorse