【3月2日 AFP】米総合参謀本部議長のマイケル・マレン(Michael Mullen)大将は1日、米CNNテレビのインタビューで、イランが核兵器製造に十分な核物質を保有しているとの認識を米政府関係者として初めて公に示した。

 マレン大将は、イランに核兵器製造能力があるかと問われ「かなり率直に言って、われわれはそう考えている」と述べ、「イランが核兵器を持つことになれば、中東地域および世界に非常に悪い結果をもたらすだろう」と懸念を示した。

 欧米は過去、核兵器製造に必要な量の濃縮ウランをイランが近く入手する可能性にくり返し懸念を表明してきたが、マレン大将の発言は今までになく踏み込んだ内容だ。

 国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)はこれに先立って、イランのウラン濃縮活動が飛躍的に進歩しているとした報告書をまとめている。報告書は、イランが核兵器製造に十分な核物質を保有しているとの専門家の指摘を紹介。中部ナタンツ(Natanz)のウラン濃縮施設に、低濃縮六フッ化ウラン1010キログラムを貯蔵していると指摘している。

 低濃縮ウランは通常、核燃料に用いられるが、核兵器製造につながる高濃縮ウランに転用可能な量を確保することを「ブレイクアウト能力」という。

 元国連査察官で、現在は米シンクタンク科学国際安全保障研究所(Institute for Science and International SecurityISIS)の所長を務めるデービッド・オルブライト(David Albright)氏によれば、現在イランが確保しているとされる低濃縮ウランは「核兵器製造につながる『ブレイクアウト能力』に十分」だとみられる。

 イラン側は自国の核開発について、人口増加に伴う電力確保が目的だと主張、核兵器製造の意志は否定している。(c)AFP/Dan De Luce