【1月21日 AFP】米大統領就任式を終え、黒人初の大統領となったバラク・オバマ(Barack Obama)新大統領は20日、新ファーストレディのミシェル(Michelle Obama)夫人とともに就任式後の舞踏会で、粋な姿を披露した。

 就任式の夜には、「オバマ時代」の到来を告げる10の舞踏会が開催された。オバマ氏は、最初の舞踏会会場に集まった人びとからの熱い拍手を受け、「まずはじめに、妻は美人でしょう?」と甘いせりふを語った。

 歌手のビヨンセ(Beyonce)によってブルース歌手エタ・ジェイムズ(Etta James)の代表曲「アット・ラスト(At Last)」が歌われるなか、オバマ夫妻は就任の夜の初ダンスを楽しんだ。

「隣人(neighborhood)舞踏会」と銘打った最初の舞踏会には、コミュニティー活動家や草の根運動活動家らが全米各地から集まり、歴史的な瞬間の目撃者となった。

 ビヨンセの歌声が響く中、大統領夫妻はダンスを終え、俳優のジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)は、「黒人の大統領だということが、ダンスの動きで分かるだろ」とジョークを飛ばした。

 ミシェル夫人は、刺しゅうがちりばめられた白いワンショルダードレスに、ダイヤのブレスレットと大きな指輪、大きなイヤリングをつけ、白の(つま先の見える)オープントウの靴で登場した。ドレスをデザインしたのは、ファッション界にデビューして3年目という台湾生まれの若手デザイナー、ジェイソン・ウー(Jason Wu)。

 黒のタキシードに白のタイを身に着けた粋な格好のオバマ氏は、来場した人びとに対し、「ご近所のみなさんを集めた舞踏会というアイディアを思いついたのは、わたしたち自身がご近所同士の人びとだから。それに、わたしは地域活動をして経験を積んだのです」と語った。

「隣人(neighborhood)という単語を考えてみると、仲間(neighbor)という言葉から始まっている。これは、米国人が、お互いの溝を深める事柄よりも、共通点で結びつき合っているということを示している」(オバマ大統領)

 また、米軍の舞踏会「最高司令官(commander-in-chief)舞踏会」では、アフガニスタンの首都カブール(Kabul)の米軍基地に駐留する米軍兵士の男女6人と映像中継を通じて気さくな会話を交換した。米軍兵士の男女らは全員、オバマ氏の本拠地のイリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)の出身者だったが、メジャーリーグ(MLB)では大半がシカゴ・カブス(Chicago Cubs)のファンで、シカゴ・ホワイトソックス(Chicago White Sox)を応援するオバマ氏を残念がらせていた。

 次に、オバマ氏は、18-35歳が参加する「青年(Youth)舞踏会」に登場。会場は、グラミー賞(Grammy Awards)受賞のラッパー、カニエ・ウェスト(Kanye West)の登場ですでに盛り上りを見せていた。来場者に対し、オバマ氏は、「オールドスクール流」の行動と説明して、ミシェル夫人の肩を抱き寄せ、ほおに熱いキスをしてみせた。

「カニエ・ウェスト以上の喝采を受ける大統領なんて、意味のあることだよ」とエール大学(Yale University)ロースクールの学生、サム・バーガー(Sam Berger)さん(26)は語った。

 また、非公式の舞踏会も注目を競い合って多数開かれ、寒い冬の夜の街角には、多数のリムジンが駐車していた。

 さすがの大統領夫妻も最後の舞踏会に到着するころには疲れた様子だったが、オバマ氏はこれまでにないほどの笑顔を見せていた。いろいろなトラブルに見舞われながらも、オバマ氏は、ミシェル夫人のドレスを踏みつけずに済んだ様子で、ホワイトハウス(White House)へ最初の帰宅をするころには、ようやくほっと一息つけた気分だっただろう。(c)AFP/Jo Biddle

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