【1月2日 AFP】北朝鮮は1日、今年の政策方針を提示する主要機関紙の新年共同社説を発表した。この中で北朝鮮は、軍事・経済面での強化を訴えたほか、韓国を強く非難する姿勢を示した。一方で、例年行われてきた米国への批判的な姿勢は控えられた。

 北朝鮮は、朝鮮半島の非核化と平和に対する取り組みをあらためて示すとともに、バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領の就任が近づいている米政府に対して、激しい非難の言葉を使うことはなかった。

 また、前年から健康問題で憶測が飛び交っている金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong Il)総書記については、「偉大なる戦術家で、比類亡き政治家」の下での政治は安定していると強調した。

 韓国・東国大学校(Dongguk University)のKim Yong-Hyu教授は、この共同社説について、韓国政府に対する強い非難は両国の緊張関係を示しているが、オバマ政権に対しては間接的に、友好関係構築の期待を表明しているものだと指摘する。

 さらに、「オバマ政権に対し、北朝鮮がオバマ氏の大統領就任後に6か国協議を通じて核問題を解決する意思があることを伝えるものだ」と語った。

■3年後の経済復興を強調

 共同社説は、経済上の問題や停滞を認めた上で、生産力を「通常の軌道」に乗せるための取り組みを求めた。その一方で、こうした取り組みは、社会主義の計画経済を通して達成されるものだと強調した。

 北朝鮮は、1956年に始まった「千里馬(チョンリマ、Chollima)運動」の精神を呼び起こし、停滞する経済の3年後の回復を目指すと強調した。千里馬運動とは、故金日成(Kim Il-Sung、キム・イルソン)主席が、平壌(Pyongyang)の西にある降仙(Kangson)の千里馬製鋼連合企業所を訪問したことをきっかけに始まった運動。

 共同社説によると、朝鮮労働党は、故金日成前主席の生誕100周年にあたる2012年までに「繁栄国家への扉を開く、遠大な目標」を設定したという。一方で、共同社説は、軍事を最優先する「先軍思想」を強調している。

■韓国政府は冷静な対応

 一方、韓国政府は、北朝鮮からの非難に対し、落ち着いた対応をみせている。統一省の報道官は「共同社説の内容は、われわれの想定内だ。今後も南北間の対話再開に向けた取り組みを続けていく」と語った。(c)AFP