【12月22日 AFP】(一部修正)中国・台湾の関係改善を象徴して中国から贈られる2頭のジャイアントパンダが、まもなく台湾に向けて出発する。

 贈られるパンダは、ともに4歳の「団団(トアントアン、Tuan Tuan)」と「円円(ユエンユエン、Yuan Yuan)」で、中国語で再会、統一を意味する「団円」にちなんだ名前だ。2頭はもともと四川省の臥龍(Wolong)自然保護区に暮らしていたが、5月の四川大地震を機に雅安(Ya'an)の研究センターに避難していた。

 台湾の当局者や獣医は22日に専用機で四川省成都(Chengdu)に飛び、引き渡し式のあと、翌日に2頭を連れて台北(Taipei)に戻る予定だ。

 台北のハオ龍斌(Hau Long-bin)市長は、「パンダの到着は中台関係改善の重大な第一歩」と手放しの喜びようだ。2頭の新しいすみかとなる台北市動物園にはパンダを目当てに年間600万人以上の来場者があるだろうと、市長は推測する。市は、約1000万ドル(約9億円)を投じて、1200平方メートルの飼育・鑑賞施設を新設。飼育員2人を四川省に派遣して訓練を受けさせるなど、パンダ受け入れの準備を着々と進めてきた。

 台北市は24日に歓迎式典を開催するが、主役のパンダたちは30日間の検閲を経なければならないために「欠席」する。検閲で健康状態が確認されれば、09年1月25日からの春節期間中にもお披露目される予定だ。

 中国から台湾へのパンダ贈呈は、2005年に国民党の連戦(Lien Chan)主席(当時)が中国を訪問した際に持ち上がったが、陳水扁(Chen Shui-bian)前総統は、中国はいわゆる「パンダ外交」で台湾の人びとの機嫌をとろうとしていると主張し、在任中はパンダの受け入れを拒否していた。

 2005年当時に台北の市長を務めていた親中派の馬英九(Ma Ying-jeou)氏が、今年3月の台湾総統選で当選したことで、パンダ贈呈がようやく実現の運びとなった。(c)AFP/Amber Wang