【8月29日 AFP】ロシアと欧米の対立を招いたグルジア問題で、中国がロシア支持に回ることはないだろう。その一方で、ロシアとの関係悪化も避けたい中国は、不支持を公言することもできない。これが、大方の政治問題専門家らの見方だ。

 ロシアは南オセチア(South Ossetia)自治州とアブハジア(Abkhazia)自治共和国の独立を承認するという強硬手段に出た。

 しかし、これまでのところ、中国の反応は概して抑制的だ。グルジア情勢への懸念を示しはしたが、ロシアと欧米各国の舌戦が益々激しさを増すなかで、どちらの側に付くかは明言を避けている。

 しかし、中国が公式にロシアを支持することはないだろう。ロシアの行為は、中国が主張してきた国家主権と領土の保全に反するものだからだ。

 香港のポール・ハリス(Paul Harris)嶺南大学(Lingnan University)教授は、「中国の本音は(ロシアが南オセチアなどの独立を承認したことは)受け入れがたいはずだ」と語る。

 新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)などで分離独立問題を抱え、台湾問題では「一つの中国」を主張する中国がロシアの行為を支持すれば、自国の独立派の主張にもお墨付きを与えることになってしまうからだ。

 グルジア情勢をめぐる国連安全保障理事会(UN Security Council)決議の文言を決定する会合では、中国はロシアに同調してきた。しかし、グルジア問題自体に対する姿勢については、中国は沈黙を守っている。

 決議が採択されるとすれば中国がどちらの側に付くかについては、専門家の見方も分かれる。しかし、水面下の交渉で決議の採択までには至らないというのが専門家の大方の予想となっている。(c)AFP/Marianne Barriaux