【7月16日 AFP】米大統領選で民主党候補指名を確実にしたバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は15日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)で演説し、新たな外交政策案の一環として、米軍の対象をイラクから国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)が潜伏しているとされるパキスタンの部族地域に「集中する」と明言した。

 軍最高司令官としての信任強化を目指し中東・欧州歴訪を予定しているオバマ氏は、イラク駐留米軍の大部分を16か月以内に撤退させるとの公約に基づいた強硬かつ信念のある外交路線を説いた。

 オバマ氏は、イラク国民自身にイラクの治安を担わせること、パキスタン政府がアルカイダを攻撃しない場合はパキスタンのアルカイダを攻撃すること、核兵器の所在を明確にすること、気候変動に取り組むこと、外国の石油に依存する米国の「圧政」を終わらせることを言明した。

 一方オバマ氏の共和党対立候補、ジョン・マケイン(John McCain)上院議員は、オバマ氏がイラクの米軍増派に反対していたことを「誤りだ」と指摘、パキスタンのアルカイダ攻撃を「大言壮語」「こけおどし」と非難した。

 ニューメキシコ(New Mexico)州アルバカーキ(Albuquerque)でマケイン氏は、「オバマ上院議員が誤っていたことをわれわれは知っている。(イラクへの)増派は成功した。成功したから、次期米大統領は敵が逃走しつつあるイラクを引き継ぐことができるのだ。アフガニスタンの状況は容認できるものではない。同国の治安は劣悪でわれわれの敵が攻勢にある。オバマ氏はイラクを失うことなくアフガニスタンで勝利することはできないと言うだろう」と述べた。

 マケイン氏はアフガニスタンにはさらに3旅団が必要だと指摘した。しかしこれに先立ちマケイン氏は増派には反対だったと述べており、オバマ陣営からは、オバマ氏の立場をまねたものだと反発を招いた。

 14日発表された世論調査は、オバマ氏が国家治安問題について転換する必要があった理由、またマケイン陣営がオバマ氏の弱点と考える根拠を示す結果となった。

 今月10-13日にABCニューズとワシントン・ポスト(Washington Post)が成人1119人を対象に電話で行ったこの調査では、約72%がベトナム戦争経験者のマケイン氏が軍最高司令官に適していると回答、オバマ氏と答えたのはわずか48%に過ぎなかった。

 オバマ氏は集中すべき目標として「イラク戦争の任務を終わらせること、アルカイダおよびアフガニスタン旧支配勢力タリバン(Taliban)との戦闘を終わらせること、核兵器および核物質をテロリストやテロ支援国家から守ること、真のエネルギー安全保障を実現すること、21世紀の課題に取り組むための同盟関係を再構築すること」の5つを挙げた。(c)AFP/Stephen Collinson