【7月15日 AFP】スーダン政府は14日、国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)のルイス・モレノオカンポ(Luis Moreno-Ocampo)主任検察官によるスーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)大統領に対する逮捕状請求を、ダルフール(Darfur)地方の和平の望みを破壊する行為だとして強く非難した。一方で、国連(UN)との協力関係は維持していくと強調した。

 スーダン外務省のAli al-Sadiq報道官は「(バシル)大統領に対するICCによる逮捕状請求は、(ダルフール地方での)スーダン政府や地域機関、国際社会による取り組みをまったく無視した行為だ」と語った。

 スーダンはICCを承認しておらず、ダルフール地方での犯罪行為などですでに逮捕状が発行されている現職閣僚を含む2人に関しても、ICCへの引き渡しを拒否している。

 al-Sadiq報道官は、ダルフール地方に展開している国連(UN)とアフリカ連合(African UnionAU)の合同平和維持部隊(United Nations-African Union Mission in DarfurUNAMID)に言及し、「(今回の逮捕状請求で)まず、ダルフール地方の反政府勢力が勢いづき、現地住民やUNAMIDへの攻撃を強める可能性がある」と指摘した。

 同報道官はさらに「(国連機関によって)犯罪者とされた国家元首と交渉などを行わなければいけないことについて、国連はどういう態度をとるつもりなのか」と語り、国連とスーダン政府との関係も複雑にしてしまうだろうとも強調した。

 スーダン政府の別の広報担当官はAFPに対し「現在われわれはICCに従わず、ICCのいかなる決定をも拒否する」と述べた。国連に対し特別な対抗措置を取るかとの質問には、「現在はICCに対抗しているだけ。ICCが国連にこの問題を持ち込めば、新たな措置を取る」と答え、詳細に触れることは避けた。

 一方、AUは14日、バシル大統領に対する逮捕状請求がスーダンでの和平に向けた取り組みを弱めるものだとして懸念を表明した。(c)AFP