【6月26日 AFP】ジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領がナイトの称号をはく奪されたと、英外務省当局が25日明らかにした。大統領選をめぐって暴力を容認し、人権を侵害し、大統領に就任以来国家の民主化プロセスを無視してきたことへの「嫌悪の印」だという。

 エリザベス女王(Queen Elizabeth II)は、デービッド・ミリバンド(David Miliband)外相のすすめに応じ、1994年に同大統領に与えられたナイトの称号をはく奪することに合意したという。

 称号の授与は、当時首相だったジョン・メージャー(John Major)氏により決定された。アフリカや西欧の多くの国ではまだ、「反植民地主義運動の英雄」と称賛されていた時代だった。ところが近年では、人権侵害や民主化の軽視が西洋諸国から指摘され、国際社会から孤立していた。さらには、まもなく実施される予定の大統領選決選投票を前に野党の有力者や支持者への暴力が横行し、大統領は国際社会からの非難の矢面に立たされている。

 メージャー元首相は声明の中で、今回の政府の決定は「極めて正しい」と述べた。また、はく奪の決定を阻止しようとしたとの噂については否定した。

 英国でナイトの称号がはく奪されることは、極めてまれだ。ナイトの称号がはく奪される外国人としては、ルーマニアのニコラエ・チャウシェスク(Nicolae Ceausescu)元大統領以来、2人目となる。チャウシェスク元大統領の場合は、1989年、処刑される前日にはく奪された。

 ムガベ大統領のナイトの称号のはく奪については、つい最近、一部の官僚が「植民地主義的な行為と受け取られかねないし、狭量だ」として、反対していると伝えられていた。(c)AFP