【5月17日 AFP】民主党候補指名争いで優位に立つバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員と共和党候補のジョン・マケイン(John McCain)上院議員が16日、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が進めてきた対イラン政策について激しい論争を展開した。

 論争の発端は、ブッシュ大統領が前日イスラエルで行った演説で、民主党はテロリストに譲歩しようとしていると示唆したことによる。

 オバマ氏はサウスダコタ(South Dakota)州で、いつどこででもブッシュ大統領やマケイン氏と外交問題について議論をする用意があると強調。「(共和党は)米国人を欺き、恐怖を植え付けようとしている。彼らは真実を語っていない」と論じた。

 オバマ氏はさらに、「米国民が意見の分裂とののしりにうんざりしている」と続け、ブッシュ大統領が進め、マケイン氏が引き継ごうとしている対話を受け入れない対イラン強硬姿勢を「完全な失敗」と切り捨てた。

 現職大統領や有力候補によるこの論争は、次期大統領選で焦点となる外交論争の前哨戦とも位置付けられる。

 オバマ氏は、対イラク政策の失敗や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者がいまだに逃亡中であることを指摘し、「ブッシュ大統領とマケイン氏は説明すべきことがたくさんある」と述べた。

 マケイン氏が米政府はイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)と「遅かれ早かれ」話し合いを持つ必要に迫られると述べたことが伝えられたことを受けて、オバマ氏はマケイン氏がかつての主張に逆戻りしたと指摘し、ハマスへの姿勢を米国民に正しく伝えていないと断じた。

 マケイン氏は後に、この報道が真実でないとして、マケイン氏の発言を引用したクリントン政権期のジェームズ・ルービン(James Rubin)元国務次官補を非難している。

■マケイン氏の反論

 一連のオバマ氏の主張に対し、マケイン氏も反論。イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領について、「イスラエルを異臭を放つ死体と呼んではばからず、米国人を殺害するためにテロリストを武装させるような奴と無条件の話し合いに応じても、イランに核開発の中止を納得させることは不可能」と反論し、「無条件な話し合いが国益になると考えることは無謀」と主張した。

 マケイン氏はさらに、「敵のいない世界は素晴らしいが、それは現実の世界ではない。オバマ氏が現実と向き合うまで、彼にパワー、判断力、そして国民の安全を守る決意が備わっているかを疑ってみる理由は大いにある」と矛先をオバマ氏に向けた。

 オバマ氏は前年7月討論のなかで、イラン、シリア、北朝鮮、ベネズエラ、およびキューバと無条件な話し合いに応じると発言している。(c)AFP