【4月21日 AFP】過激派などによる化学兵器を使った大規模な攻撃と、それに続くパニックという悪夢のようなシナリオが、世界的な化学兵器の全面禁止及び不拡散のための活動を行っている化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)に新たな役割を与えている。

 オランダのハーグ(Hague)で10日間の日程で開かれている、OPCWの化学兵器禁止条約(CWC)の運用検討会議で、参加183か国の代表団は前週末、備蓄されている化学兵器の全面廃棄期限を2012年に設定することで合意した。

 北朝鮮、エジプト、イラク、イスラエル、レバノン、シリアなどは、1997年に発効したCWCまたは修正目標に現在も署名していないが、OPCWの権限拡大を認めている。

 新たに発表された活動計画では、テロリストや非国家主体が国際社会で化学兵器を使用する危険性が増加していることが強調され、95年に東京で発生した地下鉄サリン事件を実行した、日本の宗教団体のような無法集団による化学兵器の使用増加を防ぐことが、現在の最大の関心となっている。

 各国代表団は、今回の会議で合意はしたものの、設定された目標期限までに備蓄兵器をすべて廃棄するのは難しいと認めている。インド、リビア、ロシア、米国など大量に兵器を保有する国々は、期限の延長を求め、またそれが認められると予想されている。
 
 しかしながら、軍事目的で使用される世界の化学兵器の37%が、全軍需用化学品の3分の1と合わせて既に廃棄されており、少なくとも国レベルでは軍縮に向けた進展がみられる。(c)AFP/Alix Rijckaert