【4月2日 AFP】ミャンマー軍事政権による新憲法案の内容が2日、明らかになった。AFPが入手した草案によると、軍政は2010年実施予定の総選挙後も権力を維持する内容となっている。

 民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんの大統領や議員への立候補も事実上阻止されており、スー・チーさん率いる国民民主同盟(National League For DemocracyNLD)は2日、5月に実施される国民投票で、新憲法案を拒むよう国民に呼びかけた。

 以下は、明らかになった新憲法案の骨子。

■総選挙

 新憲法は、2010年実施の総選挙後に施行。

■大統領

 大統領の立候補資格について、外国の市民権を持つ配偶者がいないことを要件として規定。英国人の故Michael Arisさんと結婚したアウン・サン・スー・チーさんの大統領への立候補を事実上封じた格好となっている。

■議会

 2院制。両院議席の4分の1は、国軍司令官が指名する軍人が占める。議員の立候補資格について、犯罪歴のないことが条件。過去に実刑判決を受けた者が多い民主化運動の活動家らの立候補を事実上阻止している。また、議員立候補者や政党が、外国政府や宗教団体からの支援を受けること禁じている。

■憲法改正

 憲法改正には議員の75%の賛成が必要。両院の25%を占める軍人議員の支持なしには、憲法改正は困難となっている。

■少数民族

 130以上ある少数民族のうち、6つの民族に対し、数十年にわたり軍政と少数民族との間で紛争が続いている国境沿いに、「自治区」を与える。

■非常事態

 非常事態には、全権を軍司令官に委譲することができる。非常事態は、騒乱時のほか、「国家主権の崩壊」を阻止することを目的としても宣言することができる。

■経済

 ミャンマーは市場経済に移行し、ビジネスの国有化はしない。

■首都

 ミャンマー中央部の新都市ネピドー(Naypyidaw)が正式に首都となる。首都地区は、大統領の直轄となる。(c)AFP