【3月12日 AFP】14日に実施されるイラン国会(定数290)議員任期満了に伴う総選挙では、改革派候補数百人が護憲評議会に失格とされたが、改革派は来年7月の大統領選に望みをかけている。

 多数の候補が失格とされた改革派は、今回の総選挙で議席全体の半数しか候補者を擁立できず、保守派による議会支配の構図は総選挙後も変わらない。

 しかし2009年の大統領選では、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)現大統領が続投するのか、それともより現実的な路線を掲げる対立候補が勝利するのかが焦点になるとみられる。

 ある専門家は「本当の戦いは2009年の大統領選だ。護憲評議会も改革派や穏健派の候補を排除することはできないからだ」と語る。

 イランには信ぴょう性の高い世論調査がなく、現大統領の正確な支持率を知るには大統領選を待つしかない。

■改革派の有力大統領候補

 大統領選で改革派の最有力候補とみられているのは、モハマド・ハタミ(Mohammad Khatami)前大統領とメフディ・キャルビ(Mehdi Karroubi)前国会議長だ。両者はともにカリスマ的な宗教指導者でもある。

 ハタミ前大統領は1997-2005年に大統領を務めた後、2年間は沈黙を保っていたが、政界復帰を目指しているとみられ、ここのところ活発にアフマディネジャド大統領の政策批判を行っている。

 90年代後半は保守強硬派の抵抗と自身の持ち前の慎重さから期待されていた改革路線を推進できなかったハタミ前大統領だが、挑発的発言を繰り返す現大統領の対極ともいえる洗練された物腰などから依然人気は高い。

 今後の方向性を明らかにしていないものの、ハタミ前大統領は各地で数千人規模の集会を開催しており、首都テヘラン(Teheran)以外での支持拡大を狙っているとみられる。

 一方のキャルビ氏は改革派の伏兵ともいえる。欧米諸国での知名度は高くないが、2005年の大統領選では現大統領に敗北しており、雪辱に燃えている。

 イラン革命を主導した最高指導者の故ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師の側近でもあったことから、むしろ保守派にとって同調しやすいとみられ、実際に保守派2人が同氏の支持に名乗りを上げている。

 西部ロレスタン(Lorestan)州出身で改革派には珍しくテヘラン以外に支持基盤を持つキャルビ氏は、大統領選での台頭が予測されている。(c)AFP/Siavosh Ghazi