【3月2日 AFP】2日に始まったロシア大統領選の投票で、選挙監視団が各地の投票所で立ち入りを禁止されたり、企業の従業員が投票を強制させられるなどの選挙違反が報告された。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が後継指名したドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)第1副首相の当選は確実な情勢だが、野党側は、政府がプーチン氏の正当性を高めるために、投票を促していると批判している。

 ロシアの独立系選挙監視団体Golosによると、同国南部アストラハン(Astrakhan)の多くの投票所で、監視員の立ち入りが禁止され、ほかの地域の投票所でも立ち入りが制限されている。また、カリーニングラード(Kaliningrad)州では必要な登録をせずに投票が認められており、理論的には複数回の投票も可能な状態だという。

 同団体の代表は、欧州安保協力機構(Organization for Security and Cooperation in EuropeOSCE)が世界基準に達していないと判断した前年12月の総選挙と同様に違反が行われていると訴えている。なお、OSCEは監視員への規制を理由に、監視員の派遣を断念している。

 ゲンナジー・ジュガーノフ(Gennady Zyuganov)委員長を擁立している共産党は、ウラジオストク(Vladivostok)の工場では、幹部が投票しなければ賃金カットや解雇すると従業員を脅して投票を強制し、投票所にも工場の代表を派遣して従業員が投票したか監視しているとの調査結果を公表した。

 インタファクス(Interfax)通信によると、同国南部のリゾート地ソチ(Sochi)では、無料の宝くじ券を配り、またアパートが当たるとして投票を勧められた地域もあるという。

 地元ラジオ「モスクワのこだま(Echo of Moscow)」は、モスクワの投票所に設置された投票箱に、投票前にもかかわらずメドベージェフ氏への票が約100票投じられていたと伝えた。(c)AFP/Conor Humphries