【2月27日 AFP】パキスタン政府は27日、動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」に掲載されていたイスラム教に「冒とく的」な内容が削除されたとして、ネット接続業者に出していた同サイトへの接続禁止令を解除した。

 問題とされていたのは、デンマークの新聞各紙に再掲載され、ユーチューブにも投稿されたイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画だ。

 ユーチューブは27日、まだ削除の確認はできていないとしながらも、「パキスタンで再びアクセス可能になったことは喜ばしい」との短いコメントを出した。

■世界規模で約2時間接続不能の状態

 一方で、24日の接続禁止令発令後、同サイトが世界規模で約2時間接続不能状態になったことに関し、パキスタン通信省は故意によるものではないことを強調した。ユーチューブ側は、国内のネットワークにおける何らかの原因で、誤ったインターネット・プロトコルが割り当てられ、世界中の多くのユーザーが架空の場所にルーティングされていたとしている。

 だが、この禁止令は万能ではなかった。海外のルーターを使用した接続業者の少なくとも1社で、ユーザーはユーチューブにアクセスすることができたという。

■接続禁止令のねらいは別に?
 
 こうした接続禁止令について、国内では別の憶測もある。ユーチューブには、前週与党が大敗した総選挙で不正工作をしたとされるペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領を糾弾する動画も投稿されている。そういったものに目隠ししたいというのが真の狙いだというのだ。

 だが、あるネットユーザーは、禁止令があってもなくても、パキスタンのイスラム教徒は冒とく的なものにはアクセスしないだろうと語った。「政府は選挙で大敗したから、政権批判には異常なまでに神経をとがらせているんだよ」(c)AFP/Nasir Jaffry and Masroor Gilani