【12月18日 AFP】韓国の大統領選投票日を明日に控え各候補者が最後の訴えを行う中、最有力候補の疑惑に対する再捜査が決定し、政治情勢の不透明化を懸念する声が出ている。

■選挙戦への影響は

 10年にわたる革新政権に対する幻滅ムードを反映し、経済界出身の保守系野党ハンナラ党(Grand National PartyGNP)の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)候補(65)の優位は揺るがないとの見方が強い。

 一方、李候補に対しては、独立調査官による株価操作疑惑の再捜査が行われることが決定しており、たとえ当選しても不透明な政治情勢がしばらく続くことになるとみられる。

 新聞各紙は、来年2月25日の新大統領就任までには独立調査官の報告書が提出されると予測。ある新聞は、疑惑が立件されれば大統領選挙が再度行われる可能性さえ指摘している。

 若年層の高失業率や経済の低迷、不動産価格の高騰などの問題解決が期待されるなか、どれだけの有権者が李候補の倫理的過失を許容するかは不透明な情勢だ。

■李候補は疑惑を否定

 16日には李候補が株価操作の舞台となった投資顧問会社BBKを設立したと語る2000年のビデオ映像が公開されており、そのことについて李候補は、当時は新たな金融ビジネスを宣伝することを考えており、間違った発言をしたと弁明した。李候補は18日にもあらためて疑惑への関与を否定している。

■立件されれば現職大統領への捜査も

 李候補は街頭で自身の大統領選出を強く訴えるが、一方で暗い見通しを示す報道もある。

 中央日報(JoongAng Daily)は社説で、「李候補が大統領に当選し、うそをついていることが明らかになれば、次期大統領は韓国史上初めて独立調査官の捜査を受けることになる」と指摘。「国家の恥」と強調した。

 英字紙コリア・タイムス(Korea Times)も社説で、李候補の疑惑が事実であれば、他の政党が再選挙を要求する可能性が高いとしている。

 韓国の憲法裁判所関係者も匿名での取材に応じ、「次期大統領が犯罪に関与したとして起訴された場合、韓国史上前代未聞の出来事となる」と語った。

(c)AFP/Jun Kwanwoo