【12月16日 AFP】ベトナムの首都ハノイ(Hanoi)とホーチミン(Ho Chi Minh)で16日、1週間前の9日に続いて南沙諸島(Spratly Islands)と西沙諸島(Paracel Islands)のベトナムの領有権を主張する数百人規模のデモが行われた。

 ハノイの中国大使館前には約300人、ホーチミンの中国領事館前には約100人が集まったが、警察に阻止された。

 9日のデモは警察に容認され1時間ほどで解散したが、2日後に中国政府がベトナム政府に抗議したため、警察は今回のデモを厳しく取り締まった。

 両諸島については中国とベトナム以外にも数か国が領有権を主張しており、周辺海域での漁獲量が減少するにつれベトナムや各国の漁船が両諸島海域に侵入し、これまでも何度か衝突が起こっている。

 7月には、南沙諸島付近で中国海軍の船舶がベトナムの漁船に発砲、漁船が沈没し乗組員1人が死亡したと報じられた。

 中国政府は英石油大手BPにも、付近での開発を中止するよう圧力をかけている。

 ベトナム情勢に詳しいオーストラリア国防大学(Australian Defence Force Academy)のCarl Thayer氏は、中国は自国とベトナムの両方で事業を行っている外国企業の利害を握っているため優位な立場にあると解説する。Thayer氏によると、ベトナムの民間人による反中国デモは「これまでになかったもので、国際的な共感と支持を得るための長期的な情報戦略が展開されていくのかもしれない」という。(c)AFP/Frank Zeller